07 | 2017/08 | 09

読み物もくじ 

・タイトルクリックでページに飛びます
・下に行くほど新しい作品です
は新作(2013年2月3作UP)


『黒子のバスケ』

「十三番隊副隊長 木吉鉄平」 (R-15、黒バス腐、BLEACH、木黒、浮ルキ)
※浮竹とルキア、木吉と黒子、緑間と高尾が付き合っています
          十三番隊副隊長木吉鉄平
▲作中に出てくる蝋梅。姿も香りも好きな梅です  

『BLEACH』

「花びら」~AFTER THE KISS~  (織姫視点)

「赤いカーネーション」 (一護嫉妬)

「一護は好きな物を最後に食べるタイプなんだね」 (お弁当モノ)

「CD on the desk」 ・・・R15 (白一護)

「『ハチクロ』ってなんだよ」 (ほのぼの)

「涙つぼ」 ~ルキアの祈り~ (前編) (若夫婦のおとぎ話)

「ヘビイチゴ」 (恋次)

「僕の青い鳥」 (花太郎)

「思へども 思わぬふりをして しゃっとしておりやるこそ 底は深けれ」 (自分の気持ちに今更ながら気付く一護)

「Dear My Princess または ワガママな僕の仔猫」 (大学生一護と中学生ルキアのクリスマス)

「After all, tomorrow is another day.」 (前編)…R18 (イヅルxルキアx白哉)
  
「オトナの階段を昇りたいルキアが水色に相談したようです」 (イチルキ、R-15)
          1842128.png

「フラッシュフォワード」
        pixivフラッシュフォワード
(人気モデルRENJIこと阿散井恋次の付き人黒崎一護と恋次の婚約者ルキアの恋物語)



※ノンフィクション

ホンコワ話 (実話注意!!)


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どうか私に愛をください ~恋次とお嬢様~ 

       ★本日2度目の更新です(^^)★

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「お嬢さん、受験勉強いいかげんに始めねぇとヤバイっすよ。
 いくらエスカレーター式の学校だからって、社会に出てから苦労すんのは自分なんだから!」

と執事の恋次が言いました。
はねっかえりのお嬢様はすぐに反撃開始!

でも、恋次に言われるまでもなく本当は分かっているんです。
ちゃんと勉強して知識と教養を身につけなきゃいけないって。
いつまでもワガママな子供ではいられないんだって。
恋次のいるこの屋敷で、お嬢様と執事ではいられないって・・・

初めて出会ったその時から、上から目線のお嬢様では、
今さら「恋する女の子」にはなれなくて。
恋次の事を想うだけで、涙ぐんでしまうくらい好きなのに・・・

「私に必要なのは、可愛くてキレイでお洒落でゴージャスなルックスだ!!
 どんなに頭が良くとも、この世は見た目が勝負なのだぞ!?」

お嬢様がどんな馬鹿げた事を言っても、恋次はいつもきちんと返答してくれるのです。
言葉は悪いけど・・・
そう、大きなお屋敷の執事とは思えない、くだけた口調で話す恋次。
いつの頃からか、二人きりの時だけ聞けるようになった恋次の「素」の言葉。

「なんなのだその言葉使いは!お嬢様の私にふさわしくないから今すぐやめるように!!」

恋次の親しげな態度が嬉しいなんて、ホントの気持ちは口が裂けても言えないお嬢様。
そしてこの頃から
「きっと恋次も私の事を・・・」
と自惚れだけど確信に満ちた思いが、お嬢様の心を支配していました。


さて、「この世は見た目が勝負なのだぞ!?」
のお嬢様の言葉を聞いた恋次がたしなめるような表情になり、その唇がお小言を発しようと開かれかけた時、

「それに大学を卒業したらすぐにどこかの資産家に嫁ぐのだ。
 私が社会に出ることなど一生ないわ!!」

言ってしまったその瞬間から、お嬢様の心には後悔の嵐が吹き荒れました。
でも、一度発した言葉を取り消すことは出来ません。
不可能だし、お嬢様としてのプライドが許さないのです。

とはいえ、お嬢様の(物理的にも)小さな胸は、不安でいっぱい。
「どこかの誰かと結婚」なんてしたくない。
お嬢様の望みは、「ずっと恋次のそばにいる事」なのですから。

自分の不用意な言葉を彼がどう受け止めたか不安で一杯の目で、お嬢様は恋次の顔を見上げました。
背の高い恋次より、40㎝以上も低い場所から。

「結婚? ガキのくせに、なに寝ぼけたこと言ってんだ!
 んな事しゃべってる暇があったら、英単語の一つでも覚えやがれっ!!」

いつものように執事らしからぬ態度と口調で、
恋次が自分の言葉を一蹴してくれるのを待ちながら・・・


執事恋次b
※クリックで拡大&カラーver.の某所へ飛びます


突然すみませんっ
久しぶりの『BLEACH』SS。
一応「恋ルキ」パラレルです。

タイトルの『どうか私に愛をください』を打ちながら
「こんなタイトルの歌があったなぁ」と思い探してみたら・・・ありました!!

『少しは私に愛をください』  作詞作曲歌:小椋佳


▲1番:来生たかお、2番:井上陽水、3番:小椋佳と豪華メンバーで歌っています
 是非聴いてみて下さい!!



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   ありがとうございました!!m(_ _)m

BLEACH短編(イチルキ) ~大学生一護と中学生ルキアのクリスマス~ 

     「破ったら針千本飲んでもらうからな、一護!」
     「笑えねぇな。オマエならマジにやりそうだし。」



Dear My Princess  または  ワガママな僕の仔猫




「おい一護、いいところなのに、どこ行くんだよ。」
「悪りぃ、すぐ戻っから。」
「大丈夫だよ一護、僕が変わりにやっとくから。」
「ありがとな・・・頼むわ水色。」
「行ってらっしゃい! じゃ僕の番だね~。 浅野さん、手が丸見えですよ。」
「敬語やめて~~!」
「浅野さんこそやめませんか、そのオヤジグギャグ。
 啓吾と敬語をかけてるの、僕らもう7年も聞いてますから。」

クリスマスイブ。
どのホテルでも華やかなパーティーが催されているが、ここ、苗場スキー場のとあるロッジ風ホテルもイブらしい喧騒につつまれていた。
ロビーには大きなツリー。
金と銀に統一された装飾に、ちょっと懐かしい風情のミラーボールの光が反射している。
10あまりのテーブルには若者中心のスキー客が陣取って、グループ内で主に男女の親睦を深めたり、他のグループにコナをかけたりと、
今夜をハッピーに過ごすための駆け引きが行われているようだ。

「・・・にしても水色。イブにこんなトコで、ヤローとつるんでていいのかよ?」
「いやだなぁ。本来クリスマスっていうのは家族で過ごす日なんだよ?
 【恋人と過ごす日】なんていうのは、日本人が勝手に作った習慣だからね。」
「じゃ、クリスマスプレゼントもなしって事か?」
「僕を誰だと思って言ってます? それより啓吾もヒトの心配より自分を優先させた方がイイよ。
 ホラ、ツリーのそばのメガネの子、さっきからこっちを見てるよ。
 30秒以内に声かけないと、他の男に取られると思うけどな。」

水色の言葉を最後まで聞かないうちに、浅野啓吾は女の子を誘うために席を立った。
そして浅野がいなくなると、タイミングを見計らったように、小柄で大きな瞳が印象的な女の子がそばにやって来た。

「私が代わりになってあげましょうか?」
「助かるよ。やり始めたゲームはちゃんと勝負をつけなきゃね。」
極上の笑顔を彼女だけに見せて、水色はゲームを続けた。



「きのう初めて見た時もスゲェって思ったけど、マジにプラネタリウム以上だな。」
ロビーを後にした一護は、寒さの中2階の部屋のベランダに立ち、夜空を見上げていた。
彼の鼻も耳も指先も、外に出て5分も経たぬというのに、寒さで赤く染まっている。
やがて一護はベランダの手すりに積もった雪を払い丸太をつかむと、そこから身を乗り出して叫んでいた。

「ルキア! この星空がお前へのプレゼントだ。受け取ってくれ!!」

その叫び声は凍てついた真冬の夜空に吸い込まれ、やがてもとの静寂が訪れた。

「うわっ! 俺、今すっげー恥ずかしい事言った。誰も聞いてねーよな?
 こんだけ寒けりゃ窓開ける奴はいねーし、みんな下で盛り上がってるし・・・」

一護はすっかり冷えた体で1度身震いをすると、再び星空に目をやってから室内に入った。
仲間のいる階下へ戻るために鍵をかけ、腕時計に視線を落とす。

「8時11分。ルキアはもう部屋に戻ってんな。」



黒崎一護、22歳。
都内にある、歴史があり一応名門と呼ばれる大学をもうすぐ卒業予定。
(学部によって偏差値にかなりの幅があるのだが・・・)
彼が朽木准教授と知り合ったのは、剣道を通してだった。
本来接点のない間柄ではあったが、武道の絆とは深いもので月日と共に気心も知れ、妹の家庭教師として声をかけられる程の信頼を得ていた。
それがもう1年前の事だ。

「朽木先生には親子ほど歳の離れた妹がいる。」
非常に可愛がっていると噂には聞くが、誰も見たことのなかったその妹は、ルキアという変わった名を持っていた。
中学2年というが、小学生と見まごう程の背丈ときゃしゃな体躯。
色白で小さく整った顔はアンティークドールのように可愛かったが、ひとこと言葉を発すると、外見とのギャップに腰が抜けるほど驚いたのを覚えている。

両親にとっては、歳を取ってから授かった掌中の珠。
兄にとっては、兄である以上に自分の娘のように世話をし守ってきた目に入れても痛くない至上の存在。
初めて会った朽木ルキアは、大切に扱われる事に慣れ、愛される事を当然と受け止めてきた、生意気な13歳の少女だった。


さて一方朽木白哉にとって黒崎一護という男は、後輩の面倒見が好く、また妹が二人いる・・・という点でルキアの家庭教師としてふさわしく思えた。
また、派手な外見に相反して、女性関係が地味である点も加点された。
この点は大切な妹と接する上では最重要ポイント、であった。

ところがそういう白哉の思惑とは裏腹に、家庭教師と妹とが恋愛関係になるのにさほど時間がかからなかったのは、なんとも皮肉な結果であった。

教え始めた矢先の期末テストで大幅に順位を上げたルキアに、家族一同大いに感謝し一護の株は急上昇した。
その結果、年末年始の行事にも家族同様参加させたのがいけなかったと、白哉は後に後悔した。

1月14日のルキアの誕生日。
当然のごとく誕生会に同席した黒崎一護が、妹にプレゼントを渡す。
すると妹は、兄に対しても滅多に見せたことのないとびきりの笑顔で礼を言ったのだ。
その刹那、白哉は黒崎一護に対して殺意にも似た嫉妬を覚えた。

だが彼を家庭教師に選んだことを心底悔やんだのはそれから1分後、こともあろうに20歳そこそこのヒヨっ子が、14になったばかりの妹を嫁にほしいと言い出した時だった。
あまりにも非現実的な申し出に、誕生日の余興と勘違いした両親は、二つ返事で了承してしまった。

光の具合で紫色に輝く瞳をきらめかせ、ほほを桃色に染めいつにもまして可愛らしい我が子に目を細める父と母。
戯言と信じているから口も軽く、結納は帝国ホテルが良いだの、結婚式はいっそ二人きりで外国で挙げてはどうだの・・・他人事だから言えるような事をまくしたて、
「これはめでたい!」と実に愉快そうに笑っていた。

ところが翌朝、昨夜の戯言が本気であったと知った時、両親は冗談で済まそうとしたが、結局朽木家の姫の泣き落としに勝てる者など誰一人いなかったのだ。
こうして朽木白哉は、自らの手で最愛の妹をほかの男にくれてやる愚をおかした。

もちろん、妹が成人するまでは決して手を出さぬと血判は書かせたし、破れば二度と立てぬ身体にしてやると自らにも誓った。
また密かに二人を引き裂くために、フェロモン全開系美女を一護に近づけさせるなどの策も講じてみた。
ただこれは、二人を偶然目にしたルキアが激しく落ち込み臥(ふ)せってしまったため、以後は行っていない。

大学生と中学生のカップルには、ルキアに合わせ、中学生としての常識内での付き合いのみが許された。
午後5時の門限を守ること。
行き先と連絡先を知らせること。
けっして2人きりの場所へ行かぬこと・・・

黒崎一護はひとつの事を守りぬくオトコ。
婚約(?)から約1年経った今も、約束はかたくなに守り通していた。
それをルキアが不満に思っているなどとは気付かずに。



ルキアの成績は最初こそ大幅に上昇したものの、その後はアップダウンを繰り返し、両親をハラハラさせていた。
「もっとイイ成績をキープすればご褒美にキスしてやる。」
くらいの人参をルキアの鼻先にぶら下げてやればヤル気も起こるのだろうが、残念ながら一護にその柔軟性はなかった。

「『希望校に合格したらディズニーランド!』って私を子供扱いするにもホドがある!!」
そんなトコロは兄様と何度も行っている。
兄様とは夜のパレードも観たし、閉園までいた事だってあるのに・・・

一護に背伸びしたいルキアの乙女心が分からないように、ルキアには、一護がルキアを宝物のように大切にしている気持ちが分からなかった。

伸び悩んでいるとはいえルキアの成績は、最低のEランクからなんとか五分五分のCランクまで上がり、2学期からはB判定とC判定を行き来していた。
「あとひと息!!」
「ここがふんばりドコロ!!」
耳にタコが出切るほど聞いてうんざりするセリフだが、受験が近づき一護の家庭教師の回数も増えたことは、ルキアには何より嬉しかった。
師走に入って1日おきに一護に会える、いぇ勉強を教えてもらえるようになり、デートは出来なくてもルキアには幸せな日々が続いていた。

ところが突然、大学の仲間と約束があるから12月23日から家庭教師は休みだと告げられたのだ。
(雇い主である両親と白哉には事前に知らされていた。)
ルキアはショックだった。
クリスマスに、恋人である私より友人を選ぶのか?
私は一護にとって、そんなに軽い存在という事なのか?

「お前はいつからクリスチャンになったんだ?」
と、一護はふくれっつらのルキアの髪をわざとクシャクシャにしながら笑って見せた。
「会えない・・・つっても10日だろ? 正月には帰って来るし。」
「11日だ、バカ者!!」

強い言葉で怒鳴っていても、瞳はうるんでいるし、声もわずかに震えているルキア。
そんな様子のルキアに胸が熱くなった一護は、ルキアの両肩をつかむと、長いまつ毛に縁取られた大きな瞳を覗き込むように顔を近づけこう言った。

「毎晩8時になったら、5分間夜空の星を眺める・・・ってのはどうだ?
 たとえ遠くに離れていても、恋人同士が同じ時に同じ事をして過ごすんだ。
 俺にしちゃロマンティックな提案だと思わねぇか?」

「恋人同士が同時刻に同じ行為をして、相手のことを想うのだな?」

自ら使った『恋人同士』という単語を鸚鵡(おうむ)返しにされて思わず心拍数が上がった一護だったが、ルキアの涙は引っ込んだようでひとまずはホッとした。

「分かった。窓ガラス越しではなく、ベランダに出て星を眺める!たとえ雨でもな。」
「ちょっ・・・・この時期に風邪ひいたらどーすんだ?雨のときは出なくてイイから!!」
「分かった。私は約束は必ず守る。
 だから一護も絶対だぞ。破ったら針千本飲んでもらうからな!」
「あはは・・・笑えねぇな。オマエならマジにやりそうだし。」

一護は笑顔が戻ったルキアと、その日は並んで朽木家で星空を眺めた。
2人は、つないだ指先から流れてくるお互いの気持ちを確かめて、幸せに浸っていた。




あの日から今日まで晴天が続き、今夜も星が瞬いて(またたいて)いる。
東京で2日、ここ苗場で2日目の午後8時の星空。
あまりの星の美しさにルキアに見せてやりたいと、2人で並んで眺めたいと・・・・
いや、次は一緒に見るんだと、一護は心の中で誓いをたてていた。

苗場で一護がそんな誓いを立てていた頃、東京の朽木ルキアは4日目の星を眺めて・・・はいなかった!!
とはいえルキアも昨晩までは、自宅でちゃんと星を眺めたのである。

1日目・・・10分前からコートを着込んでベランダに出る。
一護も自分を想いながら星を眺めているんだと思うと、自然と頬が緩んでくる。

2日目・・・昨日寒くてあの後悪寒(おかん)が走ったので、8時ちょうどに外へ出て眺める。
一護は明日から東京にいないんだと思うと、涙で星がかすんで見えた。

3日目・・・一護の奴、今晩は苗場の夜空を眺めているんだな。東京よりキレイだろうな。
でも、よく考えたら恋人が受験をひかえているのに【滑り】に行くなんて、あやつはデリカシーのかけらもない!!
それに男だけ……っと言うが実は向こうで女性グループと待ち合わせしているのかもしれない。
明日はクリスマスイブだし、旅行先だ。
あのおかたい一護でも、女の子とおしゃべりでもしているうちに、約束の8時を過ぎてしまうかもしれない・・・
ルキアの思考は限りなくマイナス方向へ向かっていった。

そして12月24日金曜日。
昨晩一睡も出来なかったルキアは、重い頭をかかえながらも、ある決意をしていた。
「一護がちゃんと約束を守っているか、この目で確かめてやる!」




午後8時30分。
苗場スキー場の、とあるロッジ風ホテルの側に、BMW535iの白い車体があった。

「ルキア、これ以上外にいては風邪を引く。」

5本目の煙草の火をもみ消すと、白哉はおもむろに口を開いた。
車にもたれる白哉からは、顔をあげ星空を眺め続ける妹の後ろ姿しか見えないが、ルキアがどんな顔をしているのか、察しはついた。
煙草5本分で、涙は止まったに違いない。

「兄様・・・」
「ああ、私にも聞こえた。」

「私は、今ここにいる事が恥かしくてなりません。
 一護を信じていたつもりでしたが、どこかで疑ってもいたのです。
 一護は今まで一度だって約束をたがえたことが無かったのに・・・
 知っていたはずなのに・・・いつでも私のことを一番に考えてくれると。
 それなのに私は、わずか3日で一護を疑ってしまいました。
 私は、わがままで子供っぽい独占欲のかたまりで・・・
 それに一護を疑うばかりか、兄様にまでご迷惑をかけて・・・」

「私は構わぬ。お前の気がすんだのであればな。」

白哉にすすめられてリアシートに座ると、そこにはやわらかな毛布と、お気に入りのチャッピーとワカメ大使のぬいぐるみが用意されていた。

「昨夜は悪い夢でも見たとみえて、目の下にくまが出来ている。
 家まで一眠りしておくといい。」

白哉の低く落ち着いた声はルキアの耳朶(じだ)を快くうって、毛布とぬいぐるみの柔らかな肌触りと共にルキアを眠りに誘っていく。
そして頭の中では、さっき聞いた一護のセリフがリピートされていた。


「ルキア!この星空がお前へのプレゼントだ、受け取ってくれ!!」



「ありがとう一護。最高のプレゼント、確かに受け取ったぞ。」



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ここまでお読み下さってありがとうございました。
兄様と車についてですが、まず自分で運転するだろうか?・・・という疑問はありました。
それから車種は、メルセデスかロールスロイスが似合うと思いましたがどちらも乗ったことがないので、見送りました。
(ベンツのEクラスの試乗車を運転したことがあるだけです)
そういう訳で、消去法でBMWになりました。
車体とエンジン(直列6気筒)とブレーキ、高速走行時(150キロ超)での安定性が気に入っていました。
電気系統が弱くて燃費も悪いけど、BMWだからそんなものです。

・・・あっ、無駄に車を語ってしまった(スミマセン)


「ヘビイチゴ」 

15000HIT御礼のSSだったのですが・・・



「面白眉毛副隊長殿、こんな所で何をしていらっしゃるのです?」

初夏を思わせる青々とした空の下、爽やかだが熱を孕んだ風が、赤く流した髪と派手な色彩の袖を通り抜けた。

「なんで俺がいるって分かったんだ?」

席官でもないルキアの霊圧探査能力の高さに舌を巻きつつ、恋次は尋ねた。

「そんな派手なモノを纏っておるのは、京楽隊長と恋次くらいのものだ!!
 しかも京楽隊長が羽織っておられるモノとでは、品が全く違うしなっ。」

霊圧探査能力には微塵も触れず、ルキアは飾り気のない笑顔と勝気な口調で、からかうように言い放った。


他隊を巡って決裁をあおぎ、ひとかかえの書類と共に十三番隊に戻る道すがらにあるここは、日当たりの良い南西の見渡す限りの草原だ。

「副隊長殿は非番だと兄様から伺っていたのだが、草しか生えておらぬところに
 一人きりで何をしておったのだ?
 さてはどこぞのおなごと逢引の約束か?」

「んなトコで何するってんだよ。ばかか、おめーは!!」

めったに言葉を交わすこともない二人だが、会えば昔のように気安く話せるようになったのは、あの戦いの後からだ。

胸の前の風呂敷包みを抱え直そうと立ち止まったルキアに、恋次は無言で近づくと、ルキアの両手から風呂敷包みを軽々と片手で持ち上げ「ニッ」と笑ってみせた。

「汗、かいてんぞ。」

差し出されたもう片方の手には、ウサギ模様の手ぬぐいが握られている。

「ありがとう。でも、新品のようだが?」

「可愛いだろ?朱鷺(とき)色にウサギが白く抜いてあって。
 これ見せたらおめーが喜ぶだろうって思ってよ。」

「私のために?」

二人がやわらかな草の上に並んで腰をおろすと、恋次はこの手ぬぐいを見つけて買うまでの経緯を 事細かく話し始めた。
いつもより饒舌な恋次の笑顔につられて、ルキアの表情もやわらいでいった。


 これを渡すために、非番の日にわざわざ人目のつかぬ場所で
 私を待っていたのか、恋次・・・


そんな事を思い巡らしながら恋次の話に耳を傾けていたルキアだが

「あれ、ヘビイチゴじゃねーか?」

という声で恋次の指さす方へ視線を移せば、なるほど赤く丸い実がいくつも顔を覗かせている。


「本当だ!!何十年ぶりだろう。懐かしいな、恋次!!」

声をあげ、思わず近づき色づいた実を摘まむと、口の中へ放り込むルキア。

「甘くないっ!!」

顔をしかめるルキアの側に近寄ると、恋次の口元に赤い実を摘まんだ白く細い指が近づいてきた。


 食っちまいてぇ・・・


本能の扉が開かれようとしたその瞬間、ルキアの桜貝に似た色艶の親指の爪ほどの大きさのソレが、恋次の口に入って来た。

「~~~うへぇ、まじぃ!!こんな味だったかコレってよ。」

ヘビイチゴは、足の先から悪寒が走るほどまずかった。
甘くもなければ酸っぱくもない、得体の知れぬこの味・・・

「戌吊で暮らした頃は、コレで腹を満たした事もあったのに、
 贅沢に慣れてしまったのかもしれぬな。」

ルキアは恋次から少し離れた場所にうずくまり、ヘビイチゴを摘まんでは口に運んでいる。
ヘビイチゴを見つめるその紫紺の瞳には、先程にはない優しさが感じられ、恋次の胸はジリリと痛んだ。

 
 あいつの事を考えてやがる?


副隊長とはいえ、特別な用向きもなく「姫」に会いに朽木家を尋ねることもはばかられるし、仕事から六番隊へ戻る道すがら十三番隊に寄りました・・・などと都合の良い行動も取れない。
また何故か非番の日が重なることもない現状では、何か「目的」がなければ「会う」事もままならない。

ウサギ柄の手ぬぐいを見つけたときは嬉しかった。
目立つものではなし、隊長に見とがめられるはずもなく、ルキアが抵抗なく受け取ってくれる物に出会えたから。

でも「ヘビイチゴ」はまずったと、すぐに後悔した。
あいつを連想させるモノをわざわざルキアに知らせて・・・


だが目の前のルキアからは、現世の子供の事を口にする素振りは見られず、恋次の心は次第に落ち着きを取り戻しつつあった。

「おいルキア、もう食うのよせ! 腹こわすのがオチだぞ。
 ちょっ、そいつはまだ熟れてもいねぇ『赤』どころか『朱色』じゃねーか!!
 それ食うぐらいならツバ飲み込んだ方がマシだぜ。」

ルキアが摘み上げたヘビイチゴは、まだオレンジ色をしていた。
ところがルキアはソレをまじまじと見つめた後、熟れていないイチゴを口に含み上下の歯でしっかりと噛みしめた。

「~~~~~!!」

どんなに我慢しても思わず眉をひそめる味が口中に広がった。


 硬くて、青い味のするイチゴ
 「時の流れ」がコレをどんな味に変えるのだろう・・・


いつの間にか西の空を 誰かの髪と同じオレンジ色に染め始めた太陽を眺めながら、ルキアの瞳はさらに遠くを見つめているのだった。


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語呂合わせで一護の話になるはずだったのに出てこない。
しかも恋ルキ→イチ・・・



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「涙つぼ」  ~ルキアの祈り~   (前編) 

* 涙つぼ:戦地へ旅立つ前に無事を祈る妻が、涙を入れて夫に渡したといわれるガラスの小さな壺。


昔々のお話です。

都から遠く離れた大きな森のそばに小さな村がありました。
その村の片隅で幼馴染の2人が結婚し、小さな家を構えました。

お嫁さんは、カラスのように黒く艶やかな髪をした小柄な人。
その小さな顔には紫水晶のような瞳が、長い睫毛に縁取られてキラキラと輝いています。

だんなさんはオレンジ色の髪で、琥珀色のやさしげな瞳をした人。
自分で伐った木を材木にし、家を建て、テーブルを組み立て、椅子を作り、
2人で暮らす愛の巣を立派に仕上げた器用な青年でした。

幼い頃から仲の良かった二人は、当人も周りの人も疑う余地も無く、自然に結ばれました。
一緒にいる事があたりまえな存在だったからです。

秋に一緒に暮らし始めた2人に初めての冬が訪れ、やがて草木が萌える春が巡ってきました。

さて、その頃国の中心の都では、隣国との揉め事が収まらず、とうとう戦となってしまいました。
そして国中の若者に、出兵の要請が出されたのです。
もちろん都から遠く離れた小さな村の青年のところにも・・・。



青年が戦地へ向けて旅立つ日の朝の事です。

「なー、1本でいいんだ1本で。
 減るもんじゃなし、いーだろ1本くらい!」

「馬鹿な事を言いおって、この色ガキが!!」

「お前、俺の事が心配じゃねーの?
 昔から恋人や良人(おっと)が戦地へ行く前に『必ず私の元へ戻って来て』
 っつう祈りを込めて、女の方から贈るモノなんだぞ。」

「私はそんな事は知らぬし、貴様は矢に当たったとて簡単にくたばるような
 ヤワな男ではなかろうがっ。」

「気持ちの問題なんだよ、キモチの。なっ、俺が欲しいんだからよっ『お守り』。
 ・・・お願いですっ、下さいっ!!!」



小さな村から戦地へ向かう一団の、一際目立つオレンジ色の髪の青年が、肩を落として歩いて行きます。
見ると頬には5本の赤いすじが、痛々しく付いていました。


夏になりましたが、戦はまだ終わりそうにありません。
そんなある日、黒髪のお嫁さんの所に、戦地から初めての便りが届きました。

戦地は海に近く、生まれて初めて海を見た事。
1日中船に乗っていて、すっかり日に焼けてしまった事。
そして・・・

「アレを見つけた。お前の気持ちが嬉しかった。
 戦はじきに終わりそうだし、安心して待ってろ。」

夫からの初めての手紙を読みながら、お嫁さんの頬は赤く染まるのでした。



二人が暮らし始めた家に、再び秋が訪れました。
木々の葉が落ち夜空の星がたくさん見えるようになっても、いつも隣で美しい星々を眺めた愛しい人の姿はありませんでした。

木枯らしが吹き始めた頃、とうとう待ちに待った知らせが届きました。
『戦争終結!!和平交渉開始!!』
厳しい冬に戦を続ける愚行は、どちらの国も犯しませんでした。

都から離れた小さな村も、ようやく家族がそろう幸せに浮き立ち、人々も笑顔がふえました。
集団で戦地へ赴いたのに、帰りは一人、また一人・・・と単独で村へ戻って来る男達。
今日もどこかの家で、無事帰還の祝いが行われる事でしょう。

ところが初雪が降るまで待っても、お嫁さんの待ち人は戻って来ません。
そして地面がうっすらと白くなったある朝、お嫁さんは海辺の町へだんなさんを探しに行こうと決心しました。

お嫁さんの気持ちは痛いほど分かるものの、村人達は断固として出発を許しませんでした。
何故なら・・・

「そんな身体(からだ)で村を出たら、お前がどうにかなってしまう。」

お嫁さんは、じきに臨月を迎える身重だったからです。



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・・・こんな中途半端なところで続く・・・だと?

作中一護が欲しがった1本とは、もちろんヘアーのことです。アンダーの。
これも戦地へ赴くイイヒトが自分を忘れず、自分を抱くために戻って来て・・・という祈りが込められているのです。



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「『ハチクロ』ってなんだよ」 

「朽木さ~ん、そろそろ負けを認めてはどうデスかね~」

新緑の季節、立夏を過ぎた日曜の午後の日差しは、夏が間近い事を物語っている。

「う、うるさいっ!!
 この私が貴様ごとき小僧相手に負けを認めると思うのかっ!!」

「では・・・」

一護は深呼吸をすると、背筋を伸ばして『起立』の姿勢をとった。

「素直に教えを請うては如何でしょうか、お姉さま。」

そして19世紀の英国紳士がシルクハットを取り淑女に敬愛の礼をとるように
うやうやしくも大袈裟な動作で、ルキアにお伺いを立てた。

一方ルキアは、擦りむいた箇所に今日何度目かの鬼道をあてながら、一護のいやみな態度にそっぽをむいた。


ルキアは、草の上に膝を立てて腰を下ろしている。
ワンピースの裾から覗く2本の脚には、ところどころ土が付き血も滲んでいた。

この水色のワンピースはルキアのお気に入りだが、何度も転んだせいでスカートの裾は茶色いまだら模様になってしまっている。

「なー。そのワンピース大切なんだろ?だったら妥協しないか?」

ルキアの態度に軟化の兆しが見えた。

「時間をかけて練習すれば、日が暮れる頃には乗れるようになるかもしれない。
 でもその時には確実に、大切なワンピースはほつれたり破れたりしているはずだ。」

「うっ!!」

流石のルキアも返す言葉がない。

というのも、そのワンピースは白哉が浦原に頼んで仕立てさせたもので、
肩ひじばらず、かといってくだけ過ぎず、実に美しいシルエットでルキアの身体に馴染んでいたからだ。
どちらの見立てかは知らないが、悔しいほど似合っている。



ルキアとて、最初はキチンと一護に乗り方を習うつもりだったのだ。
が、つい強がって、

「貴様に出来る事が、私に出来ぬはずないではないかっ!!」

と言ってしまった。


一方一護の方も

「立ちションはできねーだろ!!」

と言い返しそうになったが、口に出せば死ぬほど痛い目にあうので
言葉を飲み込んだのは、もう2時間ほど前の事だ。



何となく和解ムードが漂ってきて、一護は気になっていたことを尋ねてみた。

「にしても調子よく乗ってたのに、何で急にハンドル切ったんだよ。」

「あのまま直進するとアレを踏みつぶしてしまうからだ。」

ルキアが指差した場所には、丸く白い花がかたまって咲いていた。


「クローバーだな。」

「クローバー? 西洋の花か?」

「いや、『白詰草』っつーから日本の花だろ。」

「だが私は初めて見る花だぞ・・・ ホラ!!あれと同じではないのか?
 現世のタンポポとソウルソサエティの蒲公英は違っていただろう。
 そう、『外来種』というヤツだ!!」

楽しそうに話すルキアの表情はコロコロと変化する。
そして、そのどれもが笑顔だ。

輝く瞳は、時折空の色を映して青い。
さらに覗くと、オレンジ色の髪の誰かも映っている。


「あーー俺。今、最高に幸せかもしんねー。」



・・・とその時

「思い出したぞ、一護!!」

幸福な気分が吹き飛ぶような声が、ルキアの口から発せられた。

「クローバーとはハチミツを塗ったパンにはさむモノだっ!!
 小川に借りたマンガで読んだんだ。
 
 よし、早速『四つ葉のクローバー』を探すぞ!!
 オイ、何を呆けているのだ一護。貴様も一緒に探すのだ。手伝えっ!!」

言い終わるより早く、ルキアはクローバーを目指して駆け出していた。
一人残された一護は、タメイキと共につぶやいた。


・・・自転車の練習はどうするんですか、ルキアさん。


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「クローバー」といえば「ハチクロ」





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「CD on the desk 」 

インナー一護(白いヒト)ルキです。*犯罪モノですので、苦手な方はご遠慮ください。
 ※個人で楽しむ分には犯罪にはならないそうです。無知でスミマセン!!
     (ルキアは楽しくないと思いますけど・・・)





照明を落とした暗い室内、キーボードの上を滑る指は骨ばった男のモノだが
色はアルビノ(白子)のように白い。
顔はディスプレイの光の反射で上半分だけが青く光って見えた。

男はどうやら画像の編集をしているようだ。
画面を見ながら音声を調整していたが、

「王(ヤツ)には音なしの方がキクかもしんねーな。」

そうつぶやくと楽しそうに、殊更大きな音を立ててENTERキーをたたいた。



デスクトップには女の顔がクローズアップされていた。
大きな紫紺の瞳には涙が滲み、長い睫毛をもってしてもそれを堰き止める事はかなわず、あふれた涙が頬を伝う。

誘っているようにも、許しを請うているようにもみえるその口からは、
幼子のような小さな白い歯が覗いていた。
時には開き、時には引き結ばれる赤い唇から目が放せなくなる・・・

やがて画面の女の顔は、ほぼ正面のものから横顔、後ろへとターンしていった。

女の細い首と華奢な肩にかかる漆黒の髪は、台風にさらされた小枝のように
めまぐるしく、大きく揺れ続ける。



編集を終えた男は、出来上がったCDにタイトルを書くために筆立てから黒いペンを取った。
ところが急に気が変わったのか、ペンのキャップを締めるとベッドサイドへと歩き出す。
枕元を熱心に探っていた男はやがて目的のものを見つけると
ソレを摘まみ、瞳を細めて舌なめずりをした。



階段をリズム良く上がってくる足音に続き、ドアが開かれ部屋は明るい電灯の光に包まれた。

机の上には透明なケースに入った見慣れぬ1枚のCD。
手にとって良く見れば、ケースとCDの間に、見覚えのある黒い頭髪が1本はさみ込まれていた。


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陰湿なお話を最後まで読んで下さってありがとうございました。
白崎さん登場!!如何でしたでしょうか?


今日は「母の日」だったのに、母に電話をするのを忘れてしまいましたっ。
ゴメンナサイお母さん、でも生んでくれて感謝しています。




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「一護は好きな物を最後に食べるタイプなんだね」 

「ねぇ朽木さん、朝から気になってたんだけど、その指どうしたの?」

昼休みの教室、仲の良いグループに分かれてのお弁当タイム。
両方で合わせて数枚の傷テープを巻いた指が、ジャムパンの袋を開けていた時
夏井真花の質問が飛んで来た。



「昨日はパンだったのに、今日はお弁当なんだね。」

小島水色は、パックジュースのストローをキレイな動作で取りながら一護に聞いた。

「妹さん達は自然教室で、昨日から留守だったんじゃないのかい?
 まさか黒崎、君が自分で・・・?」

石田の問いに、一護は即座に否定した。

「じゃあ誰が?・・・って一護!!俺に内緒で彼女ができたんじゃ!?」

浅野啓吾が詰め寄った時だった。

「ム・・・そのおにぎり、なんだか・・・ゴツイな。」

チャドの言葉に三人は、一斉に弁当箱を覗き込んだ。

「ああ、お父さんが作ってくれたんだね、コレ!」




「風、強くなってきてない?」

小川みちるの言葉につられて窓の外を見ると、先程より木々の枝の揺れが大きくなっていた。

「一護んトコの遊子ちゃんと夏梨ちゃん、昨日から自然教室だったはず。
 2日目だから、今頃カヌー体験じゃないかな。」

「あ~、あたしも行った5年生の時。
 あの時も風が強くってさ、こんなだとカヌーが揺れて落ちちゃうんだよね~」

2つ目のチョココロネをほお張りながら、ルキアはみんなの会話に耳を傾けていた。

「でさ、朽木さんはカヌーやった事あるの?」

「い、いえ。まだ・・・ですわっ。」

突然の問いかけに、カヌーが何かも分らぬままルキアは答えた。





「タコさんウィンナになるはずだったんだね、そのコゲたの。」

一護の顔と弁当を交互に見ながら、何故か上機嫌な水色。
対する一護は、不機嫌そうな顔でウィンナを口に放り込んだ。
・・・と同時に

「玉子焼き、一つ貰うねっ。」

水色の2本の指が、一護に制する暇を与えずエモノを捉えた。

表面は黄色、というよりコゲた黒い部分の方が多い物体を口に入れると、思いのほか甘い。

「あっま~~!!砂糖大サービスだね、コレ。」





「きゃあ~っ!お弁当包みが飛ばされちゃった~!」

拾ったバンダナを織姫に手渡しながら有沢たつきが窓の方を見ると、さっきよりカーテンが激しく揺れていた。

「黒崎クン達、こんなに風が強いのに屋上で食べて大丈夫なのかな。」

「馬鹿とナンとかは高いところが好きなんだから、心配御無用!!
 それより姫っ、アンケートに答えてくんない?」

千鶴が差し出した雑誌のページには、ピンクな質問があふれていた。
その時ルキアは霊圧を探り、一護達がまだ屋上にいるのを確認していた。





「風が強いぞ一護。そろそろ教室に戻らないか。」

「黒崎!もさもさ食べてないで戻るぞ!!」

食べ終わった友人達も、風の強さに腰を上げようとした。
ポリポリと小気味いい音をたてていた一護が、顔を上げて何か言おうと息を吸い込んだ時、急にむせて咳き込んだ。

「急ぐ事ないよ一護。ゴメン、酢の物食べてたんだね。
 キュウリとワカメと・・・生姜の酢の物?
 一護のお父さんって、しぶいオカズ作るんだね。」

水色は満面の笑みを浮かべていた。

(キュウリ・・・誰かが大好物って言ってたよね)




  ホレ一護、弁当だ。

  これ・・・ヒトの食いモンか?

  たわけっ。失礼な事をぬかしおって、このガキめ!
  残したら貴様、どうなるか分っておろうな?

  ヘイヘイ、ありがたく頂きマス
  ・・・って1個だけかよ。オマエのは?

  本当にたわけだな貴様はっ。
  同じ弁当を食べていては、また要らぬ噂がたつであろうがっ。




風の音が強くなった。
風は、キュウリを噛む音も「うまかったぜ」とつぶやいた一護の声もさらっていった。



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お読み頂いてありがとうございました。
イチルキの王道、お弁当モノに初挑戦!!
ルキアが押入れにいる頃の感じです。

今回はカットバックをやってみたくて書いた作品でした。

* 異なる場面のシーンを交互に描く技法。
 石森章太郎の「マンガ家入門」で小学生の時覚えたモノです。
 初めてやってみたけど、分りにくかったですか?




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「赤いカーネーション」 

昨日UPした「花びら」が好評で感謝の気持ちでいっぱいです。
今回はちゃんと一護が出ます。イチ→ルキ・・・な感じです。


   赤 い カ ー ネ ー シ ョ ン

花屋の店先で遠慮がちに開く花々の中で、1つだけ満開に咲いた「オレンジ色」。
寄り添う「黒」は30cm程低い。

「白・・・だと聞いていたのだが?」

一抱えの赤いカーネーションの束を慎重に運びながら、ルキアが尋ねた。

「あぁ、普通の母親のいない家はな。でもウチじゃ、交互にやるんだよ赤と白を。
 ・・・で今年は『赤』の年、というワケだ。」

ルキアの荷物を軽くしてやりたいが、あいにく一護の両手もカラフルなリボンで飾られた植木鉢で塞がっていた。
(この量なら配達アリじゃねーのか?)

「よいではないか!赤は華やかで、気分も明るくなる色だ。」

「華やか・・・ね。親父が言うには『純白のウェディングドレスに身を包んだかーさんは
 宇宙一キレイ。そんで宇宙一白が似合うのはかーさん』なんだと。
 だったらコレも毎回白でよさそーなモンだが、続きがあんだよ。」

「赤も宇宙一似合う、とか?」

「いや、まー・・・。昔幼稚園でさ、チューリップを育てたんだよ、一人一鉢。
 そん時、俺の鉢に咲いたのが赤だったわけだ。
 ・・・で俺が言ったらしいんだ、あんま覚えてねーケド」

「母さんには赤が宇宙一似合う・・・と?」

片眉と口の端を上げたルキアが、ニヤリとしながら俺の顔を覗き込んでそう言った。
そしてその後、家までの15分は二人の間で口と脚との攻防戦が続くことになった。



待合室にトイレ、もちろん医院の入口の両側にも赤いカーネーションの鉢は飾られた。
いうまでもなく黒崎家のリビングの一角にある真咲のポートレートの周囲も花ざかり。
カーネーションもリボンの水玉模様も赤・赤・赤・・・

「あぁ本当だ!真咲殿には赤がよくお似合いだ。」

「でしょ~!!お母さんいつもより、もっとキレイに見えるよねっ!!」

額に汗して頑張った作品(?)を褒められて、『飾り付け隊長』である遊子は満面の笑みでルキアに尋ねた。
そう、自然な流れで。

「そういえば、ルキアちゃんのお母さんってどんな人?
 お兄さんもルキアちゃんも色が白くて美人さんだから、
 お母さんもすごくキレイな人なんだろうな。」

キッチンに飲み物を取りに降りてきた一護の眉がピクリ、と動いた。

「ゆ・・・」

「ああ、それは美しい母様でな!!
 今は父様の仕事の都合で外国にいらっしゃるのだ。」

遊子の名を呼ぶより早く、はじけるような明るいルキアの声が一護の耳朶を打った。
そして後始末を終えた夏梨も加わって、三人はルキアの家族談義に花を咲かせた。

『二親が揃っている普通の家庭』のルキアは、早くに母親を亡くした妹達の憧れだ。
遊子の、夏梨の、興味深々の顔が見える。
ルキアの、肩辺りのはねた髪はいつもより大きくはね、楽しそうな声がリビングに響く。

一護は、喉の奥に引っかかった「何か」を飲み下そうと、空になったコップを満たしては口に運んだ。

「オマエ、イマ、ドンナ顔シテル?」


二人で話せたのは、宿題の答え合わせにルキアが一護の部屋を訪れた、もう随分と遅い時刻だった。

「何ウソばっか吐いてんだよ、てめーは。閻魔大王に舌抜かれっぞ!」

「いきなり何の事だ?あぁ、家族の事か。」

「だってテメーは・・・」

「あながち嘘ではないのだ。
 きゃらくたーはともかく、えぴそーどは事実を少しあれんじしただけだ。」

「・・・?」

聞こえてはいるのだが、単語がダイレクトに思考へ対応しないのは、ルキアの発音のせいか?
一護のスッキリしない様子を見て取り、ルキアは言葉を繋げた。

「つまりアレは流魂街で恋次達と暮らしていた頃の、楽しかった思い出だ。
 私達は確かに家族だったのだよ。
 ない物も多かったが、あの頃は『ある』事を知らなかったのだから・・・
 その代わり私達は『自由な時間』をたくさん持っていたぞ!!」

口を開かない一護の隣で、2つの紫紺の星を煌めかせながら殊更にはしゃぐルキア。
ふいっと逸らせた一護の視線の先に、遊子が飾った1輪の赤いカーネーションが見えた。

「赤」「流れる赤い血」「ルキアの赤い唇」「俺とルキアを繋ぐ赤い霊絡」
そして「赤い髪」・・・

眉間に刻まれたシワが深くなるのを 彼は知っていた。

 

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ココまで読んで下さってありがとうございました。
<赤いカーネーション>は「9日は母の日だなぁ・・・」と考えていて出来たSSです。
「あ母さん、生んでくれてありがとう。そしてヲタクに育ってゴメンナサイ。」
・・・なんて!!

思いっきりイチルキになる予定でしたが、「赤」とくれば恋次は外せません。
(白・・・だとあのお方ですよ、勿論♪)
・・・で、メチャメチャ暗くなってしまいました。
ラブラブイチルキが書けないかな・・・





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「花びら」 AFTER THE KISS 

☆★☆5/6加筆:敬愛するリンク先『白玉小町』の古都 様が、「花びら」の挿絵を描いて下さいました。
素敵なイラストを是非、ご堪能ください。
もったいぶって、最後に飾ってあります♪♪♪




目の端を花びらが舞った。

キレイだけど背筋が凍りつきそうな朽木さんのお義兄さんの千本桜じゃなくて、
輪郭はおぼろげなのに強烈な印象を残す「花びら」・・・


冬と初夏が日替わりで訪れた4月のお天気とうって変わり、
穏やかで明るい5月がやってきた。

『新体力測定』が全校一斉であったから、私達は更衣室じゃなくてカーテンをびっしりと閉めた教室で着替えてる。
締め切られた教室の中はデオドラントやコロンの香りがいっぱいで、息をするのがちょっとツラい。
だから私はキレイな空気を求めて、顔を窓の方へ向けたの。

窓際の朽木さんはとても淡い色の、レースもリボンも付いていないシンプルなキャミソール姿で、ブラウスの片袖に腕を通しているところだった。
そして・・・
キャミソールで隠したいのか見せたいのか分らない微妙な位置にある「ソレ」は
自分の存在を主張するみたいに、私の目を釘付けにしてくれた。

朽木さんの肌はとても白い。
全校生が運動場にいても、肌の白さですぐ見つけられるくらいに。
(あんなに細くてちっさいのも、一人だけなんだけど)
そして髪は黒い。
ただ「黒い」っていうんじゃなくて、角度を変えると色んな色が見えるような、光る黒。

そんな正反対の色の間で主張する「色」、2つの花びら。


私の視線に気付く事のない朽木さんは、キチンと下からブラウスのボタンを掛けていく。
頬にこもる熱を感じながらも私は、目の前に晒された2人の事実を隠す為に
アンテナを360度張り巡らせた。

そして首を元の位置に戻したその時

「ひーめっ!!シャトルラン凄かったね〜。
 記録も人間業超えてたけど、アタシは胸の上下運動から
 目が放せなかったわよ〜!!」

千鶴の声にたつきちゃんが反応する。
鈴ちゃんが、みちるが、真花が加わる。

私は決して視線を窓の方へ向けないよう気を配った。
だって視線を追われたらオシマイだもん。
特にこの、色事に鋭い友人には。
秘密が秘密でなくなってしまう・・・

そう、私だけでいいの。
私だけが知ってるって、思っていたいだけ。

         古都サマより「花びら」挿絵

* 挿絵はクリックで、一層素敵になります。

 
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読んで下さってありがとうございました。
ギャグ以外ダメな人間なので、真面目(?)な話は書いていて気恥ずかしくなってきました。
イチルキにしたかったけど一護が出せなかったし・・・
エロいラブラブなイチルキを書くには修行が足らないようです。


追記より、rei-u 様へ拍手コメントの返事をさせて頂いています。



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