06 | 2017/07 | 08

「赤いカーネーション」 

昨日UPした「花びら」が好評で感謝の気持ちでいっぱいです。
今回はちゃんと一護が出ます。イチ→ルキ・・・な感じです。


   赤 い カ ー ネ ー シ ョ ン

花屋の店先で遠慮がちに開く花々の中で、1つだけ満開に咲いた「オレンジ色」。
寄り添う「黒」は30cm程低い。

「白・・・だと聞いていたのだが?」

一抱えの赤いカーネーションの束を慎重に運びながら、ルキアが尋ねた。

「あぁ、普通の母親のいない家はな。でもウチじゃ、交互にやるんだよ赤と白を。
 ・・・で今年は『赤』の年、というワケだ。」

ルキアの荷物を軽くしてやりたいが、あいにく一護の両手もカラフルなリボンで飾られた植木鉢で塞がっていた。
(この量なら配達アリじゃねーのか?)

「よいではないか!赤は華やかで、気分も明るくなる色だ。」

「華やか・・・ね。親父が言うには『純白のウェディングドレスに身を包んだかーさんは
 宇宙一キレイ。そんで宇宙一白が似合うのはかーさん』なんだと。
 だったらコレも毎回白でよさそーなモンだが、続きがあんだよ。」

「赤も宇宙一似合う、とか?」

「いや、まー・・・。昔幼稚園でさ、チューリップを育てたんだよ、一人一鉢。
 そん時、俺の鉢に咲いたのが赤だったわけだ。
 ・・・で俺が言ったらしいんだ、あんま覚えてねーケド」

「母さんには赤が宇宙一似合う・・・と?」

片眉と口の端を上げたルキアが、ニヤリとしながら俺の顔を覗き込んでそう言った。
そしてその後、家までの15分は二人の間で口と脚との攻防戦が続くことになった。



待合室にトイレ、もちろん医院の入口の両側にも赤いカーネーションの鉢は飾られた。
いうまでもなく黒崎家のリビングの一角にある真咲のポートレートの周囲も花ざかり。
カーネーションもリボンの水玉模様も赤・赤・赤・・・

「あぁ本当だ!真咲殿には赤がよくお似合いだ。」

「でしょ~!!お母さんいつもより、もっとキレイに見えるよねっ!!」

額に汗して頑張った作品(?)を褒められて、『飾り付け隊長』である遊子は満面の笑みでルキアに尋ねた。
そう、自然な流れで。

「そういえば、ルキアちゃんのお母さんってどんな人?
 お兄さんもルキアちゃんも色が白くて美人さんだから、
 お母さんもすごくキレイな人なんだろうな。」

キッチンに飲み物を取りに降りてきた一護の眉がピクリ、と動いた。

「ゆ・・・」

「ああ、それは美しい母様でな!!
 今は父様の仕事の都合で外国にいらっしゃるのだ。」

遊子の名を呼ぶより早く、はじけるような明るいルキアの声が一護の耳朶を打った。
そして後始末を終えた夏梨も加わって、三人はルキアの家族談義に花を咲かせた。

『二親が揃っている普通の家庭』のルキアは、早くに母親を亡くした妹達の憧れだ。
遊子の、夏梨の、興味深々の顔が見える。
ルキアの、肩辺りのはねた髪はいつもより大きくはね、楽しそうな声がリビングに響く。

一護は、喉の奥に引っかかった「何か」を飲み下そうと、空になったコップを満たしては口に運んだ。

「オマエ、イマ、ドンナ顔シテル?」


二人で話せたのは、宿題の答え合わせにルキアが一護の部屋を訪れた、もう随分と遅い時刻だった。

「何ウソばっか吐いてんだよ、てめーは。閻魔大王に舌抜かれっぞ!」

「いきなり何の事だ?あぁ、家族の事か。」

「だってテメーは・・・」

「あながち嘘ではないのだ。
 きゃらくたーはともかく、えぴそーどは事実を少しあれんじしただけだ。」

「・・・?」

聞こえてはいるのだが、単語がダイレクトに思考へ対応しないのは、ルキアの発音のせいか?
一護のスッキリしない様子を見て取り、ルキアは言葉を繋げた。

「つまりアレは流魂街で恋次達と暮らしていた頃の、楽しかった思い出だ。
 私達は確かに家族だったのだよ。
 ない物も多かったが、あの頃は『ある』事を知らなかったのだから・・・
 その代わり私達は『自由な時間』をたくさん持っていたぞ!!」

口を開かない一護の隣で、2つの紫紺の星を煌めかせながら殊更にはしゃぐルキア。
ふいっと逸らせた一護の視線の先に、遊子が飾った1輪の赤いカーネーションが見えた。

「赤」「流れる赤い血」「ルキアの赤い唇」「俺とルキアを繋ぐ赤い霊絡」
そして「赤い髪」・・・

眉間に刻まれたシワが深くなるのを 彼は知っていた。

 

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ココまで読んで下さってありがとうございました。
<赤いカーネーション>は「9日は母の日だなぁ・・・」と考えていて出来たSSです。
「あ母さん、生んでくれてありがとう。そしてヲタクに育ってゴメンナサイ。」
・・・なんて!!

思いっきりイチルキになる予定でしたが、「赤」とくれば恋次は外せません。
(白・・・だとあのお方ですよ、勿論♪)
・・・で、メチャメチャ暗くなってしまいました。
ラブラブイチルキが書けないかな・・・





『ラララ言えるかな』読み物もくじへ→こちら
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コメント

古都 様へ

古都 様

「赤いカーネーション」に感想を寄せてくださってありがとうございます。

> 短いながらも色々な気持ちの伝わって・・・

古都さんは各人の気持ちを十分すくい取って下さったのですね。
とても嬉しいです。
喜怒哀楽を詰め込みすぎたカナ…と感じていたので、そう言って頂けると
「書いてよかった」としみじみ思います。
 
>ラスト、まさかの恋次の影…!あらためて一護には嫉妬が似合いますね…。(^^;

イチルキスキーなら皆そう思っているかも・・・ですね!!
実はタイトルは当初『嫉妬』関連だったんです。
でも「母の日」から起草したお話なので、「赤いカーネーション」におさまったのです。

ご訪問&コメントをありがとうございました。
古都さんの次回作はイラストでしょうか読み物でしょうか?

毎回期待に胸を膨らまして『白玉小町』の扉を開くローガンより。

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