05 | 2017/06 | 07

「一護は好きな物を最後に食べるタイプなんだね」 

「ねぇ朽木さん、朝から気になってたんだけど、その指どうしたの?」

昼休みの教室、仲の良いグループに分かれてのお弁当タイム。
両方で合わせて数枚の傷テープを巻いた指が、ジャムパンの袋を開けていた時
夏井真花の質問が飛んで来た。



「昨日はパンだったのに、今日はお弁当なんだね。」

小島水色は、パックジュースのストローをキレイな動作で取りながら一護に聞いた。

「妹さん達は自然教室で、昨日から留守だったんじゃないのかい?
 まさか黒崎、君が自分で・・・?」

石田の問いに、一護は即座に否定した。

「じゃあ誰が?・・・って一護!!俺に内緒で彼女ができたんじゃ!?」

浅野啓吾が詰め寄った時だった。

「ム・・・そのおにぎり、なんだか・・・ゴツイな。」

チャドの言葉に三人は、一斉に弁当箱を覗き込んだ。

「ああ、お父さんが作ってくれたんだね、コレ!」




「風、強くなってきてない?」

小川みちるの言葉につられて窓の外を見ると、先程より木々の枝の揺れが大きくなっていた。

「一護んトコの遊子ちゃんと夏梨ちゃん、昨日から自然教室だったはず。
 2日目だから、今頃カヌー体験じゃないかな。」

「あ~、あたしも行った5年生の時。
 あの時も風が強くってさ、こんなだとカヌーが揺れて落ちちゃうんだよね~」

2つ目のチョココロネをほお張りながら、ルキアはみんなの会話に耳を傾けていた。

「でさ、朽木さんはカヌーやった事あるの?」

「い、いえ。まだ・・・ですわっ。」

突然の問いかけに、カヌーが何かも分らぬままルキアは答えた。





「タコさんウィンナになるはずだったんだね、そのコゲたの。」

一護の顔と弁当を交互に見ながら、何故か上機嫌な水色。
対する一護は、不機嫌そうな顔でウィンナを口に放り込んだ。
・・・と同時に

「玉子焼き、一つ貰うねっ。」

水色の2本の指が、一護に制する暇を与えずエモノを捉えた。

表面は黄色、というよりコゲた黒い部分の方が多い物体を口に入れると、思いのほか甘い。

「あっま~~!!砂糖大サービスだね、コレ。」





「きゃあ~っ!お弁当包みが飛ばされちゃった~!」

拾ったバンダナを織姫に手渡しながら有沢たつきが窓の方を見ると、さっきよりカーテンが激しく揺れていた。

「黒崎クン達、こんなに風が強いのに屋上で食べて大丈夫なのかな。」

「馬鹿とナンとかは高いところが好きなんだから、心配御無用!!
 それより姫っ、アンケートに答えてくんない?」

千鶴が差し出した雑誌のページには、ピンクな質問があふれていた。
その時ルキアは霊圧を探り、一護達がまだ屋上にいるのを確認していた。





「風が強いぞ一護。そろそろ教室に戻らないか。」

「黒崎!もさもさ食べてないで戻るぞ!!」

食べ終わった友人達も、風の強さに腰を上げようとした。
ポリポリと小気味いい音をたてていた一護が、顔を上げて何か言おうと息を吸い込んだ時、急にむせて咳き込んだ。

「急ぐ事ないよ一護。ゴメン、酢の物食べてたんだね。
 キュウリとワカメと・・・生姜の酢の物?
 一護のお父さんって、しぶいオカズ作るんだね。」

水色は満面の笑みを浮かべていた。

(キュウリ・・・誰かが大好物って言ってたよね)




  ホレ一護、弁当だ。

  これ・・・ヒトの食いモンか?

  たわけっ。失礼な事をぬかしおって、このガキめ!
  残したら貴様、どうなるか分っておろうな?

  ヘイヘイ、ありがたく頂きマス
  ・・・って1個だけかよ。オマエのは?

  本当にたわけだな貴様はっ。
  同じ弁当を食べていては、また要らぬ噂がたつであろうがっ。




風の音が強くなった。
風は、キュウリを噛む音も「うまかったぜ」とつぶやいた一護の声もさらっていった。



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お読み頂いてありがとうございました。
イチルキの王道、お弁当モノに初挑戦!!
ルキアが押入れにいる頃の感じです。

今回はカットバックをやってみたくて書いた作品でした。

* 異なる場面のシーンを交互に描く技法。
 石森章太郎の「マンガ家入門」で小学生の時覚えたモノです。
 初めてやってみたけど、分りにくかったですか?




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コメント

Re: 星宿そら様

星宿そら様

そらさん、お元気でしたか?

受験生ともなれば、課外授業に試験に面談エトセトラ、でも思い出作りも頑張らなくちゃ…
な時期ではないかと思います。

> 読みましたよ★
> ローガンさんが小説かかれていたのでちょっとびっくりしましたw

はい〜。書いてる自分が1番ビックリしています〜
私、何を血迷ったんでしょうか?

> 見習わなきゃと思います!

そらさんのスタイルは、私が絶対真似できない独特の文体だと感じていますよ。
美しい言葉が雪のように天から舞い降りてくるようです。
好きですよ。そらさんの文章v-343

> ほのぼのしてて甘くって凄い可愛らしかったですー!糖分がっちり補給しました(笑)

ありがとうございます!!
お弁当モノって萌えますよね♪
それに物語を上手く進行してくれる水色も出せますしね^^

> 実はちょこちょこ日参していたんですが、コメント残さなくてごめんなさい(>―<;;)

またまたありがとうございます!!!
お忙しいでしょうに・・・でも素直にとても嬉しいです☆★☆

そらさんは進学ですよね。では学校の先生を利用しつつ(タダなんだから分るまでしっかり質問して下さい)塾や予備校でも頑張って下さいね。
その際は是非、タイプなヒトを見つけて下さい。
彼に会う為、素敵な先生に話しかけるチャンス&先生に誉められたい、大学生になれたら告るタメ…
目標がなくては女は頑張れません!!
合格したらブリーチのDVDを全巻揃えて貰う…のもいいかも(ワタシがほしい)

なにやらふざけた方向に行ってしまいましたが、高校3年生は一生に一度だけです。
後で「ああしておけば良かった」じゃなくて
「こうしておいて良かった」といえる『今』を過ごして下さいね♪

説教臭い事を長々と失礼しました。
コメント、本当に嬉しくて感激しました。
お身体を大切に、お勉強も頑張って下さい 。

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