10 | 2017/11 | 12

「『ハチクロ』ってなんだよ」 

「朽木さ~ん、そろそろ負けを認めてはどうデスかね~」

新緑の季節、立夏を過ぎた日曜の午後の日差しは、夏が間近い事を物語っている。

「う、うるさいっ!!
 この私が貴様ごとき小僧相手に負けを認めると思うのかっ!!」

「では・・・」

一護は深呼吸をすると、背筋を伸ばして『起立』の姿勢をとった。

「素直に教えを請うては如何でしょうか、お姉さま。」

そして19世紀の英国紳士がシルクハットを取り淑女に敬愛の礼をとるように
うやうやしくも大袈裟な動作で、ルキアにお伺いを立てた。

一方ルキアは、擦りむいた箇所に今日何度目かの鬼道をあてながら、一護のいやみな態度にそっぽをむいた。


ルキアは、草の上に膝を立てて腰を下ろしている。
ワンピースの裾から覗く2本の脚には、ところどころ土が付き血も滲んでいた。

この水色のワンピースはルキアのお気に入りだが、何度も転んだせいでスカートの裾は茶色いまだら模様になってしまっている。

「なー。そのワンピース大切なんだろ?だったら妥協しないか?」

ルキアの態度に軟化の兆しが見えた。

「時間をかけて練習すれば、日が暮れる頃には乗れるようになるかもしれない。
 でもその時には確実に、大切なワンピースはほつれたり破れたりしているはずだ。」

「うっ!!」

流石のルキアも返す言葉がない。

というのも、そのワンピースは白哉が浦原に頼んで仕立てさせたもので、
肩ひじばらず、かといってくだけ過ぎず、実に美しいシルエットでルキアの身体に馴染んでいたからだ。
どちらの見立てかは知らないが、悔しいほど似合っている。



ルキアとて、最初はキチンと一護に乗り方を習うつもりだったのだ。
が、つい強がって、

「貴様に出来る事が、私に出来ぬはずないではないかっ!!」

と言ってしまった。


一方一護の方も

「立ちションはできねーだろ!!」

と言い返しそうになったが、口に出せば死ぬほど痛い目にあうので
言葉を飲み込んだのは、もう2時間ほど前の事だ。



何となく和解ムードが漂ってきて、一護は気になっていたことを尋ねてみた。

「にしても調子よく乗ってたのに、何で急にハンドル切ったんだよ。」

「あのまま直進するとアレを踏みつぶしてしまうからだ。」

ルキアが指差した場所には、丸く白い花がかたまって咲いていた。


「クローバーだな。」

「クローバー? 西洋の花か?」

「いや、『白詰草』っつーから日本の花だろ。」

「だが私は初めて見る花だぞ・・・ ホラ!!あれと同じではないのか?
 現世のタンポポとソウルソサエティの蒲公英は違っていただろう。
 そう、『外来種』というヤツだ!!」

楽しそうに話すルキアの表情はコロコロと変化する。
そして、そのどれもが笑顔だ。

輝く瞳は、時折空の色を映して青い。
さらに覗くと、オレンジ色の髪の誰かも映っている。


「あーー俺。今、最高に幸せかもしんねー。」



・・・とその時

「思い出したぞ、一護!!」

幸福な気分が吹き飛ぶような声が、ルキアの口から発せられた。

「クローバーとはハチミツを塗ったパンにはさむモノだっ!!
 小川に借りたマンガで読んだんだ。
 
 よし、早速『四つ葉のクローバー』を探すぞ!!
 オイ、何を呆けているのだ一護。貴様も一緒に探すのだ。手伝えっ!!」

言い終わるより早く、ルキアはクローバーを目指して駆け出していた。
一人残された一護は、タメイキと共につぶやいた。


・・・自転車の練習はどうするんですか、ルキアさん。


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「クローバー」といえば「ハチクロ」





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コメント

Re: 月城はるか様へ

月城はるか様


はるかサマ、お返事が死ぬほど遅くなって申し訳ございません!!!
言い訳の仕様もありません。ごめんなさい!!!

はるかさんのように『体系立てて』小説を書かれている方には遠く及ばない私のSSですが、
気に入って頂けてとても嬉しいです。
それが大好きな作家のはるかさんからのお言葉・・・だから格別です♪♪♪

> 「立ちションはできねーだろ!!」
> っていう自滅が確実に予想されるセリフを賢明に飲み込んで、手を代え、言い方を工夫しながらなんとか説得しようとする一護。

ご自分で文章を書かれる方は凄いですね!!
私があまり深く考えないで書いた部分から色々なモノを汲み取ってくださる。
そんな細かい観察眼と感性を持っているからこそ、はるかさんの作品で私達は感動できるのですね。

> (『死ぬほど痛い目にあう』って言葉にルキアならホント危険だよって思って爆笑しました。)

ルキアが感情のままに言葉を発し行動できるのは、恋次と一護だけですよね。
このパワーバランスがたまらなく好きです。
頑張れ恋次!!! ってはるかさん宅ではとっくにいい仲の恋ルキでした^^

> 『悔しいほど似合っている』ーーこの軽い嫉妬感も含めて、ホントこういうシチュって萌え萌えで大好物です!!

兄様好きの私はすんなりとイチルキには出来ません(笑)
しかも浦ルキ←イチのどろどろ愛憎劇も好き・・・なものですから(爆)

とにかくルキアが大好きな私は、『彼女がどれだけ愛されているか』が『見える』お話が好きなんです。
自分ではまだまだ萌えを生み出す事は出来ませんが、はるかさんをはじめイチルキ恋ルキ作家さんの作品から吸収していきたいと思っています。

私の拙いSSにとっても嬉しいお褒めの言葉や感想をくださって、本当にありがとうございました。
そして嬉しかったにもかかわらずお返事が遅れてしまった事をお許しください。

こんにちは、ローガンさん♪

ルキアと一護の会話がとっても楽しかったです。
こういうお話が本当に大好きですvvvv


「貴様に出来る事が、私に出来ぬはずないではないかっ!!」

って言い放った意地っ張りのルキアと

「立ちションはできねーだろ!!」

っていう自滅が確実に予想されるセリフを賢明に飲み込んで、手を代え、言い方を工夫しながらなんとか説得しようとする一護。
(『死ぬほど痛い目にあう』って言葉にルキアならホント危険だよって思って爆笑しました。)


『悔しいほど似合っている』ーーこの軽い嫉妬感も含めて、ホントこういうシチュって萌え萌えで大好物です!!

ルキアが転んで擦り傷を作っている姿を見ていることに耐えられなくなった一護の一生懸命さと愛が堪りません!!

そんな一護の気持ちも知らずに今度はクローバーを探し始める暢気なルキアも大好きです!!!


とっても楽しいSSをどうもありがとうございました!!




Re: さー坊様へ

さー坊様

度々のお運びとコメントに嬉しくて小躍りしているローガンです★☆★

> だ、『大先輩』だなんて畏れ多くてもう、「穴があったら入りたい」どころか、勇んで即効「入ってしまえ!!」な感じです。。。
> 更には『才気あふれる』だなんて・・・もう、昇天してしまったらどうしてくれるんですかローガン様!!(笑)

いえ、私の素直な感想ですよ。
出来ましたら言葉どおり受け止めて下さいませんか。

ココでお伝えするのもおかしいのですが、6つの柘榴の話、アレが好きでたまりません。
兄様が「ルキアのために自分を変える」のが、微笑ましい、ではニュアンスが違いますが、涙が止まりませんでした。
白ルキは結構ハードなストーリーが多くて、それがイチルキへ心が動いた原因だったのですが、この作品のような美しい物語に触れられて、白ルキも捨てたモノじゃないな…と再認識した次第です。

ところで四つ葉のクローバーを見つける才能ですが、ホントに凄いですね!!

> ちなみに、先日の四つ葉のクローバー捜索で、四つ葉9枚、五つ葉2枚、六つ葉2枚を発見いたしました。
> でも、全て人の為に探したもので、自分の為に探しても・・・ちっとも見つからないのです。

ヒトのためって…、それで商売できそうですね(笑)

> 自分の幸運は自分で掴め、ということなのでしょうね、きっと。

なんだか複雑ですねぇ。
さー坊さんが見つけた四つ葉で皆さんが幸せになっているのなら素晴らしいことですから、
「しあわせお届け人」という事ですね。
では当人の幸せは何処に・・・

長々とすみません、メールもありがとうございました。
また連絡させて頂きます。

Re: るるか様へ

るるか 様

るるかさん、こんにちは!
ご訪問&くすぐったくも嬉しいコメントをありがとうございました!!
毎回毎回お返事が遅れに遅れて申し訳ありません。

> おおーー!ローガンさんのSS!
> なんともイチルキの特徴が出ていて
> 目に浮かぶようです(∩´∀`)∩ワーイ

お恥ずかしい限りです。
孫がいてもよい年齢で、子どもが出来たみたいな恥ずかしさ・・・ちょっと例えが極端でしたか・・・です!!

> お恥ずかしい事に私は「ハチクロ」読んだ事ないんですよ。
> なぜなら友達に「あんたは絶対無理!」と言うもんで(;・∀・)

私もココで懺悔しなければならない事があります。
わたしも「ハチクロ」読んでません!!
アニメとドラマ(日本&台湾)を見ただけなんです〜〜

それにしても「絶対無理!」とはどういう事でしょうね?
読んでみれば分かるのかしら?

> あっ、それとお嬢さんに「ナイス」っとお伝え下さい( ´∀`)bグッ!

るるかさんウチのが図に乗るような事言っちゃダメですよ〜
もしかして、るるかさんも茄子が苦手とか?
ま、まさか「500円で弟を買収」の部分じゃないでしょうね?
そうじゃなくても「イイお金の使いかたした!!」とうそぶくようなヤツなんですから・・・
「るるかさんが「ナイス」って伝えて」・・・を言うと千万の味方を得たように喜んでいた事をお知らせします。

コメントをありがとうございました!!
私もまたるるかさん宅で、様々なエピソードを楽しませて頂きます♪

次は童話風なイチルキを書きたいなぁ〜なんて・・・

Re: ポール・ブリッツ様へ


ポール・ブリッツ様


わざわざお運びいただいて、こちらにまでコメントをありがとうございました。
しかも稚作を読んで下さるとは!!

> 原作をろくに知らないので正しいのかはわかりませんが、
> どれも登場人物の印象がよく伝わってくる楽しい小説でした。

BLEACHをご存知ないと分かりにくい文章だと思います。
ですので、登場人物の印象がよく伝わる…とおっしゃって頂けたのは、最高の賛辞です、私にとって。

> やっぱり二次創作は、彼らに対する愛あってこそですね。

うわぁ〜、これもすっごい褒め言葉!!
私には才能も技術もアイデアもありませんので、キャラに対する『愛』だけで、駆けております。

> わたしも見習わなくちゃなあ。

何をおっしゃいます、ポールさん!!
「小さな勝利」のホームズとワトソンの会話も行動も文章も、コナン・ドイルばりの書き方で、とてもワクワクしながら拝読しましたよ。
ポールさんのホームズ達への愛情が、いっぱい伝わってきました!!

ところで、

「探偵エドさん」「ショートショート」「昔話シリーズ」の中からどれかを選べば、まあだいたい楽しめると思います〜(^^)

との事でしたので、早速拝読したいと思います。
オツムの軽い者ですが、お付き合い頂けると光栄です♪♪♪

ご訪問&コメントをありがとうございました。
返事がこんなに遅くなって、本当に申し訳ございませんでした!!

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

おおーー!ローガンさんのSS!
なんともイチルキの特徴が出ていて
目に浮かぶようです(∩´∀`)∩ワーイ

お恥ずかしい事に私は「ハチクロ」読んだ事ないんですよ。
なぜなら友達に「あんたは絶対無理!」と言うもんで(;・∀・)

でも、ローガンさんのSSはとっても楽しく拝見できましたよ。
ホッコリしました(*´∀`*)
また楽しみにしてます〜。

あっ、それとお嬢さんに「ナイス」っとお伝え下さい( ´∀`)bグッ!

麻生由美子様へ

麻生由美子様

> >「立ちションはできねーだろ!!」
> あはは!確かに!!
> この台詞、何気ないけど最高に受けました(^▽^)

良かった〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!
ちょっと勇気いったんですよね、このセリフを書くの。
余りにもベタ過ぎて、かつ、眉を顰められるかな…お下品で、と思って。

> >「あーー俺。今、最高に幸せかもしんねー。」
> この台詞がこのSSの中で一番好きです♪
> 一護…本当にルキアに惚れてるねっ!!(笑)

これも書くのに勇気がいった…というか、恥ずかしかったんです、私が!!
一人で照れながらキーを打ちました///

> ルキア姐さんは相変わらず天然でいいですね〜♪

そう、ため息が似合うんですよ一護氏には!!
いつまでも青い関係の2人が大好きです。
モチロン真逆な関係も大好物です☆★☆

「いつも自分のブログを気にかけてくれる誰かがいる」
という幸せをくれる由美子さん、ありがとうございます。

Re: さー坊 様へ

さー坊 様

さー坊様、先日はリンクして下さってありがとうございました。
季節の移ろいを様々な花の写真と軽妙な文章で綴る、才気あふれるさー坊さん、尊敬申し上げておりマス♪♪♪

> コメント書いている時間帯の為か、脳内で一生懸命に練習している『強情だけれども健気なシーン』が再生されておりました♪

本当ですかっ!?それは書き手冥利に尽きるというものですね。
まだ、書き始めて1週間ですが(笑)

> ワンピースが汚れるのを気にする『女の子』なルキアにも心揺れたり。。。
> 何気に兄様と浦原氏の影がちらつく?のも・・・個人的には微笑ましかったりします♪

重要なので強調しました。
はい、わたくしこのお二人とルキアの絡みが大好物でございまして…
所謂白ルキ、浦ルキ、おまけにギンルキに目がありません。
ですからさ−坊さんの『秘密』も前後を無理やりギンルキに妄想しておりました。

> でも其れを逆手に取っているようにも読める一護氏、もしもそうならば上手だなぁ。

さ、さー坊さんって物凄い洞察力の持ち主なんですね!!
一護、頭いいじゃん、●●かと思ってました、私(爆)

> 元々一ルキっぽい所からスタートしたので、こういうほのぼのとしたの、好きです〜

まぁイチルキ出身!!多いですよ私の周り、今は白ルキの方々で。

> 四つ葉のクローバー、私ならルキアとつい一緒に何本でも探してしまいそうですね。
> (何せ隠れた?特技なもので。周囲に気持悪がられるくらいの。)

素晴らしい特技ですね!!もう何年もお目にかかっていないんですよ〜私(泣)

SSは『花びら』が初作品で、これでまだ5作しか書いていない『新人』ですので、『大先輩』のさー坊さんにアドバイスを頂けると嬉しいです。

コメントをありがとうございました。

こちらでははじめまして。コメント返しです。

原作をろくに知らないので正しいのかはわかりませんが、

どれも登場人物の印象がよく伝わってくる楽しい小説でした。

やっぱり二次創作は、彼らに対する愛あってこそですね。

わたしも見習わなくちゃなあ。

>「立ちションはできねーだろ!!」

あはは!確かに!!
この台詞、何気ないけど最高に受けました(^▽^)

>「あーー俺。今、最高に幸せかもしんねー。」

この台詞がこのSSの中で一番好きです♪
一護…本当にルキアに惚れてるねっ!!(笑)

ルキア姐さんは相変わらず天然でいいですね〜♪
こういうお話も大好きです〜♪♪
毎日楽しませていただいてます(^^

ルキアと自転車とクローバー・・・
コメント書いている時間帯の為か、脳内で一生懸命に練習している『強情だけれども健気なシーン』が再生されておりました♪
ワンピースが汚れるのを気にする『女の子』なルキアにも心揺れたり。。。
何気に兄様と浦原氏の影がちらつく?のも・・・個人的には微笑ましかったりします♪
でも其れを逆手に取っているようにも読める一護氏、もしもそうならば上手だなぁ。
元々一ルキっぽい所からスタートしたので、こういうほのぼのとしたの、好きです〜
え?今は?・・・
(BL系の嗜好は無いですけれどね。。。)

四つ葉のクローバー、私ならルキアとつい一緒に何本でも探してしまいそうですね。
(何せ隠れた?特技なもので。周囲に気持悪がられるくらいの。)
でもそれじゃ有り難味が無くなるかな・・・やっぱり自重します。
代わりに一護氏に『貴方が一緒に探しなさい!!』と申し上げたいです。

長々と失礼致しました。。。

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